『敬語は難しい・・・かな?』

TLSは滋慶学園グループという日本最大級の専門学校グループに属しています。その関係で、私は専門学校の学生にも日本語を教える機会が多くあります。専門学校の学生の最大の目的は日本で就職することです。そして、そのときに学生たちの前に立ちはだかるのが『敬語』です。学生たちは、尊敬語と謙譲語の使い分けや特別な表現のある動詞の多さに悩んでいます。

今日の授業では、『お大事になさってください。』は敬語としていいが、『お大事にしてください。』は敬語としてだめではないかという議論がありました。後者がだめな理由は、『お大事』と前を丁寧にしているのだから、後ろの『してください。』も『なさってください。』に変えるべきなのでは?というものでした。

私は学生たちの議論を聞いていてとても面白いなーと思っていました。学生たちは初級後半で敬語を習ったときに、目の前に現れる動詞を全て敬語の形に変える練習を受けてきた結果、敬語に変えられる表現は、全て敬語に変化させなければいけないと思っているようでした。

本当に日本人はそのように敬語を使っているのでしょうか。答えは『No』です。敬語を使うときにはいくつかのルールがありますが、少なくとも日本人は全ての動詞を敬語に変えて使ってはいません。私の答えは『お大事になさってください。』も『お大事にしてください。』も両方とも敬語として問題はありません。それよりも、病気で具合の悪そうな人に対して、その人のことを心配して、何かを正しいタイミングで言おうとしたその行動こそが敬語だと思います。就職の面接でも、敬語の使い方をチェックしているわけではありません。場面にふさわしい日本語を使って、どのように自分を表現するのかがポイントになるのです。

もしかすると最大の問題は、初級における敬語の教え方にあるのかもしれません。

2012年5月8日 東洋言語学院 伊東 隆作


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